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[ 177] X51.ORG : 四肢切断を望む人々 ― 身体完全同一性障害とは(2)
[引用サイト]  http://x51.org/x/06/04/1009.php

【ABCNews/etc】カールには両脚がない。しかしそれは、事故や病気による切断でも、先天的な欠損によるものでもない。彼は自ら望んで、両脚を失ったのである。 ― 今から6年前、カールは駐車場に止めた車の中で、ひとりドライアイスを見つめていた。「最初におが屑と粒状にしたドライアイスを混ぜて、バケツに入れました。バケツは炭酸ガスで満たされて、零下79度まで低下しました。」それから凡そ45分間、カールは両脚を冷え切ったバケツの中に浸し、更にバケツが一杯になるまでドライアイスを注いだ。「それから更に6時間、上からドライアイスを注ぎながら足を冷やし続けたんです。」大学で化学を専攻していたカールにとって、これら手順を調べることは簡単なことだった。
「どのくらいの温度でどれくらいの時間冷やせば、足を凍らせることが出来るか、はじめに念入りに調査しました。6時間も冷やせば、完全に足を凍らせることが出来ると分かっていたんです。」
そして6時間に及ぶ冷却を終えると、カールはいとも冷静に、予め車に設置した運転装置を使って救急病院へと車を走らせた。そして入院から数日後、カールの足は"期待通り"壊死し、もはや選択肢のない医師の手によって、その足を切断されたのである。
しかし現在、カールのような特殊な四肢切断者は決して彼一人だけではない。カールのように自分の身体に違和感 ― それは自分が思い描く自分の身体と実際の身体の間に横たわる ― を感じ続け、何とかして身体を矯正したいと願う人々が少なからず存在するのである。
「私は間違った姿で生まれてきてしまったんです。」そう語るのはもう一人の四肢切断志願者、リリー(仮名)である。彼女はこれまで二度に渡って足の切断を試みたという。「自分のイメージする身体と、実際の自分の身体が、まったく一致しないんです。」
「彼ら切断願望を持った人々は、アンプティー(四肢切断者※)のことをあたかも”障害に打ち勝った強い人”として、憧れの眼差しで見るんです。」しかしファースト博士によれば、彼ら四肢切断願望を抱えた人々は、その奇妙な妄想を別として、他に何ら精神面に問題を抱えていないという。
「何よりも驚くべきなのは、それら四肢切断願望を持った人々の多くが、普段はまるで普通の人々であるために、例え面と向かって話したとしても、全く気がつかないということです。また彼等がハンディキャップを持った人々に憧れを抱くのは、常に幼少時代に始まっているんです。」
ファースト博士の語る通り、カールの場合もまた、障害者に憧れを抱いたのは5歳か6歳の頃だったと話している。幼い頃、カールの家庭はポリオによって障害を患った隣人をかくまうことがあり、その時にはじめてアンプティーを見たのだという。
「ちょうどマンガで見るように、私の頭の上で電球がパチンと光ったような感じがしました。そしてまず、彼等に嫉妬を感じたんです。でもそのことで別に自分がおかしいとは思いませんでしたね。」
生物医学技術者であるダン(仮名)は現在、フランスはアルプスの小村で暮らしている。そして彼もまた、カールやリリーと同じような妄想を抱き続ける、四肢切断願望を持つひとりである。ダンは、スキーやハイキングをこよなく愛し、今のところ身体には何の支障もない。しかしそれでも尚、彼はしばしドライアイスとチェーンソーで両足を切断することを妄想し、その衝動を抑えるために、時にアンプティーになった振りをして何とか心を落ち着けるのである。「実際のところ、義足になったらどのくらい大変なんだろうか?」例えば彼は、運動している最中にさえ、そうした妄想を抱くのだという。
「もし私が両足を切断することを決定したとしても、それは極めて”合理的な”行為だと思っています。確かに足を切断することで、私はハンディキャップを負うことになりますし、苦労もするでしょう。しかし、私は既にBIIDであり、それ自体がハンディキャップで、苦しんでいるんです。つまり、どっちを取るかという問題に過ぎません。」
現在、ほとんどの医師は、健康な人の四肢を切除することを非倫理的なことであると考え、それら施術を行うことはない。しかしまた、彼等の望みを叶える医師もまた、僅かに存在しているのである。例えば事実、昨年、ダンはいよいよ自らの願望を抑止することが出来なくなり、両脚切断を行ってくれるというフィリピンの医師を探し当てた。その医師は脚一本あたり、$10,000(約120万円)で切除するとダンに約束したという。しかし結局、ダンはその馬鹿げた値段と、医師による術後のケアに疑問を持ち、”不幸にも”脚を切断することは諦めたのである。
そしてまたリリー(写真)も、昨年、ついに脚を切断することを決心した。丁度カールが行ったようにドライアイスで脚を冷やし、医師に治療の選択肢を与えず、そのまま切断してもらおうと考えたのである。「いまはもうくるぶしがありません。脚はずっと腫れ上がったままなんです。」しかし彼女は、脚の冷却の痛みに耐えられず、途中で挫折したのだ。
彼女の場合もまた、ダンやカールと同じように四肢切断への執着は幼少期にはじまったという。「いつもアンプティーの真似をして遊んでいました。そう考える自分は正常だと思っていました。とても気分が良かったんです。」そう語る彼女はまた、自分の脚がどのような長さであるべきか、極めて正確なイメージを持っている。右脚が左脚よりも2cm長くありたい、そう感じているのである。
しかし彼女は長い間、胸の奥に秘められたその欲求を誰にも言わずに隠し続けてきたという。数年前、彼女は普通に結婚し、フランスの地中海沿岸の小村で新たな生活をはじめた。しかしそんな幸せな結婚生活のさなかにあってさえ、彼女はいよいよ長年の願望をもはや抑え続けることが出来なくなったのである。
「兆候はありました。時折、彼女は理解できないことをするようになったんです。例えば夜、特に一人でいるときに、自分の脚を縛り上げてしまうんです。」リリーの夫、ジョージは語る。
そして彼女はある日、ついにその衝動を抑えきれなくなり、かかりつけの医師に悩みを打ち明けた。しかし医師は”もし本気でやるつもりならば、あなたを精神病院に送らなければならない”、と彼女に告げたのである。そしてついに、彼女は夫に、隠し続けてきた自分の願望を打ち明けた。当初、ジョージがショックを受けたのは言うまでもない、しかし最後には、彼女の願望を認め、彼女に施術をしてくれる医師を探すことに、協力する決意をしたのである。
1990年代後半、スコットランドの医師、ロバート・スミス氏はこうした四肢切断願望を持つ患者二人の脚を切断し、それが発覚したことで医学会に大論争を巻き起こした。その中で、スミス氏は四肢切断によって患者が救われることを次のように主張した。「放っておいた場合、彼等が自分自身で切除してしまうことだって考えられるんです。例えば鉄道の上に脚を置いて列車で脚を切断するかもしれませんし、脚にむけてショットガンをぶっ放すことことさえあるかもしれません。彼等はそのくらい絶望的になっているんです。」
そしてその通り、リリーは今、まだに絶望の底にある。スミス医師の名を知ったリリーは、ジョージと共にスコットランドを訪れ、スミス医師の働く病院の側で、脚をドライアイスに浸した。しかしリリーは冷却の痛みに耐えられず、途中で脚をバケツから引き抜いてしまったのである。そして彼女は病院に運ばれ、脚が重度の損傷を受けていることを告げられた。しかし皮肉にも、それは切断する必要のないレベルだったのである。こうしてリリーはただ脚に苦しみだけを抱え、しかしアンプティーとなることはなかった。しかしそれでも尚、リリーはまだアンプティーになることを諦めていないという。
そして夫のジョージもまた、彼女を”助け”続けることを約束している。「これは普通のことではありません。本当に難しいことなんです。しかし彼女の身体は彼女のもので、彼女はそれを切断したがっているんです。もちろん私は彼女に一生脚があって欲しいと思いますし、他の誰にも、こんなことをして欲しくありません。」
彼等三人 ― リリー、ダン、そしてカール ― は、今、インターネットを通じ頻繁にチャットで話す仲であるという。その中で唯一、実際の切断者となったカールは、望み通り両脚を失った後も、更なる切断への願望を満たすことが出来ず、今度は左手を切断したいという衝動に駆られた。しかし結局、カールは徹底したセラピーと抗鬱治療を受け、その望みを辛うじて回避したのである。
そして現在、車椅子に乗って生活しているカールは、今になってようやく、四肢切断を後悔する兆しがあることを、正直に告白している。例えばそれは、車椅子では決して出来ないこと― 例えばビーチで砂浜を踏むといった ― に気づいたときである。
「(後悔を感じるのは)本当にちょっとした、些細なことなんです。でもそんなとき、自分はそれまで一体何を考えていたんだろうと、思うことがあるんです。」
※アンプティー等の画像。これらは主として愛好家(devotee)の為のサイト。一般的には男性ディヴォーティーによる女性アンプティーの写真を扱うサイトが目立つが、女性ディヴォーティーの為の男性アンプティー・フェチサイトも少なからず存在する。※他BIIDの参考リンクは下記関連へ
ちょうどマイナスイオン風呂やトルマリン・ペンダントのようなものです。疑似科学と言われても否定は出来ないでしょう....
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